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● 診療のトピック


 全く何の問題なく全妊娠期間を終える方は、実際のところごく少数だと考えます。元気な赤ちゃんを産むために、女性の身体では短期間で様々な変化が生じます。その変化に負担が伴うことで、様々な症状に悩まされることもあるでしょう。
 妊娠期間を安全に過ごすためにも、我々産婦人科医が皆さんにお願いしたいことがいくつかあります。それぞれ注意すべき項目について解説していきます。

問診票
 妊娠初期のうちに妊娠のリスクを評価することが、妊娠管理の第一歩となります。これまでの妊娠歴、今までにかかったことのある病気、家族構成、ご家族の病気についてや、現在相談したいと思っていることなど、その項目は多岐にわたります。ご自身にとっては大したことがないと思っていることでも、その後の妊娠管理に関わることがあるかもしれません。問診票は書き洩らしのないようにご注意ください。

体重管理
 出産時に目標にするべき体重は、妊娠前の身長・体重や、個々人のリスクなどにより決定されます。体重増加の推奨値は、何を目的にするかによって異なってきます。そのため、施設ごとで推奨体重が異なることもあります。妊娠中はホルモンの関係もあり、体重が増えやすいことがあります。しかし、妊娠中の過度の体重増加は、巨大児や難産、妊娠高血圧などの頻度をあげることから、体重管理を意識した生活を送るべきと考えられます。

性器出血
 性器出血は全妊娠期間を通して起こる可能性があります。その原因は多岐にわたり、さほど心配のいらないものからすぐに手術の必要なものまで様々です。受診を要するかどうかを判断するため、まずは連絡をいただきたいと思います。少なくとも、腹痛を伴う性器出血がみられる場合は連絡をしてください。出血量、腹部痛など症状の有無、流早産リスクなどを考慮して方針は決定されます。

お腹の中での赤ちゃんの動き
 個人差はありますが、赤ちゃんの動きはおよそ妊娠20週ころから自覚されます。赤ちゃんの動く回数は、妊娠32週で最も盛んとなり、そこから分娩予定日が近づくにつれ徐々に減少すると報告されています。この赤ちゃんの動きが、赤ちゃんが元気か否かと関連することが報告されています。普段と比べて極端に赤ちゃんが動く回数が少ないと感じた場合は連絡してください。胎児心拍数や超音波検査で、赤ちゃんが元気かどうかを評価する必要があります。

よくある妊娠合併症
 頭痛:妊娠中の頭痛は比較的よくみられる症状です。多くの場合は偏頭痛か緊張性頭痛で自然によくなることが多く、痛み止めも有効です。ただし妊娠中には使えない痛み止めもあるため、自己判断で頭痛薬を飲むのは控えてください。これまでと違った痛みである時や、痛み方が徐々に変わってくるなどの場合は他の原因を検討する必要があります。

便秘:妊娠することで黄体ホルモンが上昇します。このホルモンの影響で腸管の動きが悪くなり、便秘につながります。非妊娠時と同じように、水分摂取や食物繊維摂取、軽い運動などが基本となりますが、それでも治らないときに下剤を用います。トイレで力むと流産早産になるか心配される方もいらっしゃいますが、便秘で腹圧のかけすぎで流産、早産になったという報告はみられません。しかし、心配するくらい力まねばならない便秘であれば、便秘薬に頼った方がいいのかもしれません。

こむら返り:お腹が大きくなると、反り返るような姿勢になってしまいます。これによってふくらはぎに負担がかかり、就寝中などに下肢がつってしまうことがたびたびあります。入浴時のマッサージや、ストレッチをすることは予防になります。薬物療法として、漢方やカルシウム製剤などがこむら返りに有効だといわれています。

小野寺洋平 記)


こんにちは 秋田県産婦人科医会です
 
 

今回のテーマは「産科外来 受診・通院で気をつけること」です